以下の情報は、医療機関ネットワーク(消費者庁と国民生活センターとの共同事業)に寄せられた情報です。
医療機関ネットワークには、12歳以下の事故情報が23.781件(2010年12月以降、2015年11月30日まで)寄せられており、そのうち0・1・2歳児の事故情報は、12.484件で約5割を占めています!!
0・1・2歳児の事故が多いのはなぜか・・・
この頃は発達も早く、昨日までできなかったことが急にできるようになることから、対応が遅れがちになるとされています。さらに1~2歳では、1人で歩行できるようになり、行動範囲もますます広くなり、事故が多発するようになります。
0・1・2歳児の事故の傾向と特徴
0・1・2歳児の中では、1歳の事故が最も多く(0~2歳の約42%)、次いで2歳(30%)、0歳(28%)と続いています。また、事故の93%は軽症ですが、0・1歳児では重篤・死亡事故も発生しています。
事故の傾向
1位 |
2位 |
3位 |
4位 |
5位 |
|
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0歳 |
転落 |
誤飲・誤嚥 |
転倒 |
ぶつかる・当たる |
触る・接触する |
1歳 |
転落 |
転倒 |
誤飲・誤嚥 |
ぶつかる・当たる |
触る・接触する |
2歳 |
転倒 |
転落 |
ぶつかる・当たる |
誤飲・誤嚥 |
触る・接触する |
1歳では、0歳で3位だった「転倒」が、2位になっています。これは1人で歩ける1歳は行動範囲も広がり、ベッドの中で大半を過ごしていた0歳とは事故のきっかけが異なってきます。2歳では、「転倒」が1位となり、不安定ながら歩く速さが増したり、さらに行動範囲が広がるためか、転倒事故の割合が増えるなど、事故の傾向に変化がみられます。
転落事故と事例について
0・1・2歳児のトータルで見ると、「転落」による事故が最も多い!!
- 0歳は「ベッド類」
それほど子どもは動かないだろうと思っていても事故が起きている!
- 1・2歳は「階段」
自ら歩行するなどの行動範囲が広がる!
【事例1】 寝返りはできないと思って大人用のベッドに寝かせていたら転落。(4か月・軽傷)
大人用ベッドを2台付けて、子どもは中央に寝ていた。ミルクを作ろうと母親がキッチンに向かい戻ると、フローリングの床に転落していた。寝返りはまだできないが、手足をバタバタさせているうちに移動し、転落し頭部を打撲したと考えられる。
【事例2】 大人用ベッドに寝かせたところ、壁とベッドの隙間に転落。(5か月・重篤)
大人用ベッドに寝かしつけ寝室を離れた。再び寝室に入ったところ、壁とベッドの隙間に挟まるように転落し、呼吸がなかった。
【事例3】 お湯が残っていた浴槽に転落し死亡(1歳0か月・死亡)
風呂の扉が開いており、浴槽でうつ伏せに浮いていた。洗い場と浴槽壁の段差は30センチメートル、水位は30センチメートルだった。子どもは一人で歩けた。
【事例4】 マンションのベランダから転落し骨折(2歳0か月・重症)
自宅マンション2階の部屋で遊んでいた。台所にいた母親が気づくと、窓が開いて室外機のところにスリッパがあり、転落していた。顎を骨折。
転倒事故と事例について
転倒事故は2歳で第1位、0・1歳でも2・3番目に多い事故です。
- 0・1歳は歩行が不安定なため、転んでテーブル等にぶつかり、けがをしたケースが多く、月齢だと7か月から増え始める。
- 1・2歳は「自転車」による転倒が増えている。子どもを乗せていて転倒し頭を打ったなど。
【事例1】 ベビーカーごと転倒
ベビーカーの後ろにかけた荷物が重く、ベビーカーごと転倒。ベビーカーから放り出されなかったが、頭部が赤くなっていた。頭部打撲(5カ月・軽傷)
【事例2】 歯ブラシをくわえたまま転倒
歯ブラシをくわえたまま歩いて転倒し、右頬に刺さった。転倒したところは見ていないが、クッションにつまづいたのかもしれない。右頬部に発赤と脂肪組織の脱出あり。CTにて深達度が深いことも予測され緊急入院4日間(1歳7か月・中等症)
【事例3】 自転車の前座席に座っていて、自転車ごと転倒し腕を骨折
自転車の前座席に妹を乗せてヘルメットを装着したが、嫌がったため顎のベルトはしていなかった。後部座席に兄を乗せようと兄を連れに行ったところで自転車が左側に転倒し、そばにあった鉄の柵で頭部を打撲し、1センチメートルほどの腫脹と、左前腕骨折(2歳6か月・中等症)
誤飲・誤嚥事故と事例について
- 0・1歳では、「電池」「タバコ用品」が上位 ※「電池」はボタン電池が目立つ。
- 2歳では、「他の医薬品」「電池」が上位 ※「電池」はボタン電池が目立つ。
【事例1】 タバコを食べて入院
タバコを1本食べ、半分は出した。その後、嘔吐し嘔吐物にタバコのかすがあった。顔色不良にて入院(8か月・中等症)
【事例2】 ボタン電池が食道にとどまり手術で摘出
テレビのリモコンで遊んでいた。その後、リモコンのボタン電池がないことに気付いた。食道にボタン電池があり手術にて3時間かけて摘出(1歳5カ月・中等症)
【事例3】 祖父の薬を飲んで胃洗浄
祖父の脳梗塞・前立腺肥大・頭痛の薬3種類を3錠飲んでしまい、胃洗浄にて入院(2歳9か月・中等症)
さわる・接触による事故と事例について
この事故では、ほとんどが「やけど」の事故になっています。子どもは皮膚が弱いため、少しの熱でも重症化する危険があります!
- 0歳では、「スープ等」や「電気ケトル」等の事故が多い
- 1歳では、「炊飯器」や「調理食品」の事故が多い
- 2歳では、「麺類」「花火」の事故が多い
【事例1】 電気ポットでのやけど
台所で電気ポットが転がっており、お湯をかぶっていた。前胸部と背部に熱傷2度あり、熱傷範囲20%(9か月・重症)
【事例2】 台の上のカップうどんに手を出しやけど
台所でガスコンロの横にカップうどんを作っておいた。コンロ横のゴミ箱を整理しており、その横に子どもがいた。その直後、子どもがカップうどんにてを伸ばしてこぼしてしまい、右肩から全部かかってしまった。救急車要請。顔面、右肩、右背部、右胸に水疱形成あり。やぶれている。入院となる。(1歳3か月・中等症)
【事例3】 フライパンをひっくり返し、腕や顔にやけど
できたてのハンバーグがのったフライパンをひっくり返した。右胸、両腕、右頬から首にかけてやけど。(2歳8か月・重症)
≪参考情報≫
- 消費者庁 消費者安全課
- 内閣府 子ども
- 子育て本部
- 内閣府 消費者委員会事務局
- 文部科学省 初等中等教育局 幼児教育課
- 厚生労働省 雇用均等児童家庭局保育課
- 厚生労働省 雇用均等児童家庭局母子保健課
- 独立行政法人 国民生活センター