多重債務について
多重債務とは?
「多重債務」とは、どういう状態のことを言うのでしょうか?金融広報中央委員会では、多重債務問題を次のように定義しています。
「すでにある借金の返済に充てるために、他の金融業者から借り入れる行為を繰り返し、利息の支払いもかさんで借金が雪だるま式に増え続ける状態を指す。多重多額債務ともよばれる。」
つまり借金を返すために、別のところからお金を借りたことがある場合、それは多重債務の状態だということです。もちろん、借入先が1つの場合でも、返済の負担が大きすぎて生活を維持できないような場合も、多重債務状態と変わりがありません。
なぜ相談が必要なのか?
「自力でなんとかできる」と考えて、借金の返済のために新たな借金を抱えるケースがあとを絶ちません。
国民生活センターの「多重債務問題の現状と対応に関する調査研究」(2006年)という報告を見ると、はじめは「家計の足しに」と思ってはじめた借り入れが、時たつうちに「借金の返済のため」の借り入れに変わっていることが報告されています。
また(株)日本信用情報機構がまとめた報告によると、2010年5月時点で、消費者金融5社以上からお金を借りている人は、100万人を超えており、平均の借入額は250万円とされています。
これらの報告や統計から「自分で何とかしよう」と考えるあまり「自分ではどうしようもない」状況に発展してしまうのが「多重債務問題」の怖さだといえるでしょう。
多重債務問題を解決するためには「手助け」が必要です。消費生活センターでは、みなさんが多重債務問題を解決するための「手助け」をしています。
相談の前に・・・
多重債務の相談が、どのような手順で行われるかについては、「多重債務相談の手順」を(この画面のまま下へスクロールして)ご覧ください。
多重債務の相談の前に、自分で準備しておくとよいものについては、「多重債務相談に必要なもの」を(この画面のまま下へスクロールして)ご覧ください。
多重債務の問題には、どのような解決方法があるのかについては、「債務整理について」を(この画面のまま下へスクロールして)ご覧ください。債務整理の法的な手段についての概要を説明しています。
多重債務相談の手順
多重債務相談は、おおむね次のような段階を踏んで、解決へと向かいます。大まかな流れを理解しておくと、問題が解決するまでの間の不安が和らぎます。
消費生活センターに連絡する
最初の相談は電話でもかまいません。しかし、よほど特別な事情がない限り、直接センターの窓口に来てご相談いただきますので、あらかじめご了承ください。
センターにいらっしゃる前に、あらかじめ消費生活センターに電話していただけると助かります。事前のご連絡があれば、必要な書類を準備したり、個室(会議室)等を確保したりするなど、相談のための準備を整えることができます。
資料を集める
多重債務相談では、借入金、借入先、家計の状況など、様々な情報が必要になります。相談に来られる前に整理しておくと、その後の相談の流れがスムーズになります。詳しい内容は、「多重債務相談に必要なもの」を(この画面のまま下へスクロールして)ご覧ください。
消費生活センターで情報を整理する
ここまでの段階で、家計の状態や、借入金の総額・毎月の支払額などの情報が、かなり整理できているはずです。センターでは、もう少し相談にこられた方からお話を伺って、相談者の方の「カルテ」のようなものを作成します。
カルテができたら、債務整理の方法について大まかな説明をして、弁護士・司法書士・法テラスなどの専門家(専門機関)をご紹介します。
専門家(機関)の援助を受ける
すでに消費生活センターで、ある程度問題点の整理ができていますから、専門家との話し合いは比較的スムーズに進むはずです。専門家との面談の時には、消費生活センターで作成した「カルテ」と、それまでに整理した資料を持ってゆきます。後は専門家と相談しながら、一番適した解決方法を選ぶこととなります。
◎ポイント
弁護士等への相談後、債務整理の手続きに入ると取立ては一時的に止まります。つまり取立ての対応に追われながら、手続きが進むわけではないのです。そういうこともあって、多重債務問題については一刻も早く相談していただきたいと思っています。
多重債務相談に必要なもの
多重債務の相談をする前に、次のようなことを整理しておきますと、その後の相談がスムーズに行きます。
契約書 ・ 利用明細 ・ 取引履歴 ・ クレジットカード ・ キャッシングカード
多重債務問題を解決するためには、だれから・いくらのお金を借りているのか、正確に知る必要があります。そのために、契約書や利用明細などがあれば助かります。
書類が手元になかったり、不十分だったりする場合は、借入先の金融機関に「取引履歴」を請求することができます。請求するときに「取引の最初から、一番最近のものまで、全部記入されているものをください」と言えば、通常は業者から送られてきます。
※過払い金を請求できる場合で、時効が迫っているなどの理由で手続きを急ぐ場合もあります。お早めにご相談ください。
家計に関する情報
多重債務問題の解決には、誰から・いくらお金を借りているかだけでなく、次のような情報も必要です。
- 収入と支出はいくらなのか。
- 借入金の総額と月々の返済額はいくらなのか。
- どれくらいの財産(自宅・車など)を持っているのか。
- それらのローン残額はどのくらいなのか。
家計の全体像が分かるように、上記の点を紙に書きだすなどして整理しておくことをおすすめします。家計の状況を把握することで、多重債務の問題の解決方法の手がかりが見つかることもあります。
家計の履歴
今までの情報に加えて、次にあげる中で自分に該当するものがあれば、消費生活センターでの問題点の整理のときに、お話ください。
- 今までに債務整理をした経験はあるか。(いつごろ、どんな手続きをしたか)
- 過去に、全額支払った借入金とその内容。
- 今、手元に債務整理の手続きをする(弁護士等に仕事を依頼する)ためのお金は持っているか。
◎ポイント
このように、多重債務の問題を解決するためには、それなりの手間隙もかかります。まずは消費生活センターに電話して、はじめの一歩を踏み出してください。相談員は全力でみなさんをサポートいたします。
債権整理について
多重債務問題を法的に整理する方法は4つあります。
どの方法を取るかは、それぞれの方の家計や債務の状況によって変わってきます。ご本人と、債務整理の依頼を受けた専門家の間で話し合ってから、方法を選びます。
ここでは、債務整理の方法と、それぞれの特徴について簡単に説明をします。
任意整理
債権者(貸主)と話し合いをして、借金の返済方法や金額を決め直す方法。
個人で債権者と交渉するのは非常に難しいため、通常、弁護士や司法書士に手続を依頼して、利息の再計算や支払方法変更の交渉をしてもらいます。利息の再計算をすることにより借金残額の減少が見込まれます。
【 特徴 】 弁護士等の費用はかかるが、任せておけば安心です。
特定調停
裁判所に申立てをして、調停により借金の返済方法や金額を決め直す方法。
債権者(貸主)との交渉は調停委員がしてくれるので、法律の知識がない人でも大丈夫です。利息の再計算をすることにより借金残額の減少が見込まれます。
【 特徴 】数回、裁判所に出向く必要があるが、費用が安い(債権者1件あたり数百円程度)。ただし、交渉結果には判決と同じ効力があるため、支払計画を守らないと、即、財産の差押えをされるおそれがあります。
個人版民事再生
裁判所に申立てをして、借金の一部を3年間程度で払うことを条件に、残りの借金返済を免除してもらう方法。
申立手続が難しいため、通常、弁護士等に依頼する場合が多いようです。この方法を利用するためには、住宅ローンを除いた借金が5千万円以下である、将来的に一定の収入が見込める等の要件があります。
【 特徴 】 住宅を手放さずにすみ、借金元本の一部をカットできます。
自己破産
裁判所に申立てをして、あるだけの財産を債権者(貸主)に分配し、残った借金は全額免除してもらう方法。
申立手続がやや難しいため、通常、弁護士等に依頼する場合が多いようです。土地や家などの資産がある場合は、お金に換えて債権者に返すことになります。借金の原因がギャンブルなどの場合、借金の免除をしてもらえないこともあります。
【 特徴 】 半年程度で借金から全面的に開放されます。裁判所から免責の決定が下りるまで、生命保険募集員や警備員等の一部の職業につけない、居住地を離れる場合は許可がいる、手紙は管財人が確認する等、多少の制限はありますが、通常の生活には支障はありません。
◎ポイント
それぞれの内容の大まかな点は、消費生活センターでも説明いたします。詳しい内容については、受任された弁護士や司法書士からお聞きになってください。
多重債務問題は、消費生活センターを経由しないで、直接弁護士や司法書士に依頼しても一向に構いません。金銭的にお困りの方は法テラスにご相談ください。
ギャンブル等依存症でお困りの方は、消費者庁の特設ページもご確認ください。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_012/
【 相談・問合せ先 】
高萩市消費生活センター(本庁舎2階) TEL 23-2114