平成31年第1回高萩市議会定例会の開会にあたり、今回ご審議いただきます諸議案の説明に先立ち、市政運営に対する私の所信の一端について申し上げます。
私は昨年3月2日に市長に就任し1年が経過いたしました。この間市民の目線に立って「市民主役のまちづくり」を基本理念とし、「誘致事業」「交流事業」「支援事業」を柱として市政運営に取り組んでまいりました。
今年は、市制施行65年の節目の年であります。65年を振り返りますと、昭和40年代からのエネルギー革命により、炭鉱の閉山をはじめとした、いくつかの困難を乗り越え高萩市が継続発展してきたことは、多くの先人達の不断の努力と知恵によるものであります。
現在、少子高齢化、人口減少により、かつて経験をした事の無い時代へ突入し、それを起因とする多くの課題を抱えております。困難な時代であるからこそ、先人の努力に思いを馳せ、議会の皆様、市民の皆様とともに、「住んで良かった」と子どもたちが誇りを持って語れる高萩市創生のため、全力で取り組む覚悟であります。
1 基本的考え方
はじめに、平成31年度当初予算(案)編成の基本的考え方について申し上げます。
昨今の国の経済情勢を見ますと、内閣府の月例経済報告(1月)によれば、「景気は、緩やかに回復している。」としております。
先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行きなど海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要があるとしております。
そのような中、本市は、厳しい財政状況ではありますが、平成31年度はすべての事業において最小の経費で最大の効果を挙げるために、事業の重要性や緊急性を勘案し、「ゼロベース」から事業を検証し、見直しや再構築の徹底を図るとともに、将来世代への負担軽減に努め、市民主役のまちづくりを推進してまいります。
また、第3次行財政健全化計画の取組みを継続しつつ、「第5次高萩市総合計画」に掲げる基本政策に沿った事業を積極的に展開し、「誘致事業」、「交流事業」、「支援事業」の3つを政策の柱としてまいります。
2 平成31年度の主な施策
はじめに、現在、北茨城市と広域的に進めている一般廃棄物処理施設整備につきましては、建設地が決定しましたことから、2月9日に地元説明会を行い、2月25日には地元住民と共に最新の機能を有する飯能市クリーンセンターの視察を行ってまいりました。引き続き、土地の測量調査、周辺地域の生活環境影響調査、施設整備に係る基本計画策定などを実施し、適宜、住民説明会を開催するなど、議会、市民の皆様へ丁寧な説明を行いながら、早期の建設工事着手に向け努めてまいります。
続きまして、3つの柱ごとの主な施策について申し上げます。
はじめに、1つ目の柱『誘致事業』についてであります。
中心市街地活性化事業につきましては、庁内プロジェクトチームにおいて意見やアイデアを出し合いながら検討を行なってまいりました。引き続き、課題・対策等の調査・検討に加え、先進事例の研究や関係団体、市民等のご意見を伺いながら、利用しやすい駅前となるよう高萩駅西口駅前広場再整備条件検討調査を行ってまいります。
また、企業誘致につきましては、未分譲地(TK-2-2)1区画となっていることから、早期誘致を目標に全力で取り組んでまいります。
また、フイルムコミッションの活用により観光誘客の促進等に努め、地域経済の発展に繋げてまいります。
次に、2つ目の柱『交流事業』についてであります。
私は、市民の目線に立って、真に市民が求めているものを施策に活かしていきたいと考え、「市民の皆様は何を考え、どの様なまちづくりを望んでいるのか。」を直接お聞きするため、市長室開放事業を昨年7月から開始いたしました。
引き続き、市長室開放事業の開催を6回予定しており、更に多くの市民の皆様との意見交換を行い、開かれた市政運営に取り組んでまいります。
次に、旧君田小・中学校施設を利活用し、昨年12月1日に開校いたしましたドローン操縦士養成スクールにつきましては、スクールを活用した山間地域の活性化を事業者や地域の皆様と連携して推進し、引き続き、交流人口の拡大を図ってまいります。
また、高萩スカウトフィールドの活用につきましては、公益財団法人ボーイスカウト日本連盟と連携・協働し、キャンプの理論や実践を学ぶ機会を提供するなど、自然体験活動事業を実施いたします。また、植樹等の活動によって参加者の当該施設への再訪を促し、継続性のある交流につなげてまいります。
(観光資源の開発)
次に、新規事業といたしまして、新たな交流人口確保のため、ダムや河川等の山間地域の豊富な自然資源を有効活用した高萩アウトドアフィールド事業を実施いたします。この事業は、カヌーやラフティングボートなどの体験事業を行うものであり、本市への新たな観光客を誘客し、交流人口の拡大を図ってまいります。
長久保赤水顕彰事業につきましては、郷土の先人長久保赤水の資料の視察など、赤水の顕彰を進めるため、7月に東京で開催される国際地図学会議と提携し、参加者である各国研究者を対象とした高萩市来訪ツアーを実施いたします。ツアーでは、赤水の業績とともに、日本伝統文化の体験、地域特産品の賞味などにより、本市の魅力を広く発信してまいります。
(スポーツ交流の拡充)
国民体育大会につきましては、本年9月28日に第74回国民体育大会、いきいき茨城ゆめ国体が開会し、本市においては、10月2日から6日までの5日間にウエイトリフティング競技が高萩市文化会館で、10月4日、5日の2日間に軟式野球競技が高萩市民球場でそれぞれ開催されます。昨年開催されました国体リハーサル大会の課題を踏まえ、引き続き、各競技団体と連携しながら競技の円滑な運営及び機運醸成を図るため更なるPR等に努めてまいります。
次に、3つ目の柱『支援事業』についてであります。
地域公共交通確保対策につきましては、高萩市地域公共交通網形成計画に基づき、昨年8月より市内山間地域においてデマンド型乗合タクシーの運行を始めたところでありますが、さらに高戸常磐線東・赤浜地区の交通空白地域において、デマンド型乗合タクシーの試験運行を計画しております。山間地域においては、代替バスを利用している通学者及び無医地区対策送迎利用者をデマンド型乗合タクシーに移行することにより、利用者の利便性の向上を図ってまいります。引き続き、市民のニーズを把握しながら、市内全体における日常生活での公共交通手段の確保・充実に向けて取り組んでまいります。
次に、市内の空き家や空き店舗の情報を移住検討者等へ提供する「高萩市物件紹介バンク」につきましては、継続して運用し、移住や創業を推進してまいります。
また、本市へのUターン者を対象とした高萩創生奨学金返還支援補助金や、三世代同居等世帯・多子世帯に対する住宅取得支援補助金につきましては、引き続き実施することにより、本市への定住・移住、地元就職を促進し、定住人口を確保してまいります。
次に、地域コミュニティ活動の活性化につきましては、地域コミュニティ活動や活性化に取組まれている地域の方、集落支援員として活動されている方や学識経験者の方からご意見を伺いながら、引き続き本市の地域コミュニティ活動の活性化と地域コミュニティの形成を推進してまいります。
(少子高齢化対策の推進)
次に、子育て環境の整備につきましては、出産後、心身に不調や育児不安のある方に対する新たな支援として、医療機関や助産所などで心身のケアや指導を受ける事ができる「産後ケア事業」を実施してまいります。また、先天性聴覚障害を早期発見、早期治療を行うための新生児聴覚検査に係る費用の助成を実施し、保護者の経済的負担軽減を図ってまいります。
次に、老朽化に伴う施設整備を行う時期を迎えつつある市内の民間認定こども園において、施設の建替工事を実施することから、その施設整備に要する経費の一部を支援してまいります。また、公立各施設につきましては、公立施設に通う園児の保護者を対象としたアンケート結果を参考に策定した整備計画を踏まえ、施設整備の実施計画を策定し、引き続き、子ども達の教育・保育環境の整備、充実に努めてまいります。
また、教育環境の向上といたしましては、昨年の記録的な猛暑を受け、幼・小中学校の普通教室等へのエアコン整備を引き続き進めてまいります。
また、子どもの安全確保につきましては、園児、児童、生徒の安全・安心をより強化するため、防犯カメラの設置を進めてまいります。また、地域子ども安全ボランティアによる児童の登下校時の見守りや青少年相談員による店舗訪問等を強化し、引き続き、青少年犯罪の抑止に努めてまいります。
また、放課後の子どもの安全な居場所づくりとして、地域の方々の参画を得て松岡小学校、東小学校、高萩小学校に放課後子ども教室を開設しておりますが、新たに秋山小学校を加え、市内の全小学校で事業を実施いたします。
また、子育て世代への経済的負担を軽減し、安心して子育てができる環境整備を図るため、市内小中学校に在学する児童生徒の第2子の学校給食費を半額補助、第3子については全額補助を行ってまいります。
学校教育につきましては、昨年、導入したコミュニティ・スクールの機能を生かし、引き続き、学校・家庭・地域が連携して知・徳・体のバランスのとれた子どもたちを育成していきます。
これまで取り組んできた確かな学力を定着させるための手立てや豊かな心を育むための手立てに加え、新たに、子どもたちの健やかな体を育む教育に力を入れていきます。保育所、幼稚園、小学校につきましては、市内のスポーツクラブと連携し民間屋内プール施設を活用した水泳学習を取り入れ、専門家からの指導により、子ども達の泳力向上につなげてまいります。また、中学校につきましては、昨年策定した「高萩市運動部活動の基本方針」に則り、部活動指導員を配置し、生徒の意欲喚起や技能の向上を図ってまいります。これらの施策により、生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現する資質や能力の育成に努めてまいります。
公民館活動につきましては、特色ある講座を開設し、学習内容の充実を図るとともに、地域の方々の経験や技能を教育活動に生かし、授業や学校行事等で支援していただく「はぎッズサポーター」の活動の拡充を図ってまいります。
また、地域の人材や大学との連携により「いきいき萩っ子育成事業」を引き続き実施、元気な「萩っ子」の輩出を図り、子供たちの健全育成の推進に努めてまいります。
次に、高齢者の介護予防・重度化防止及び自立支援の推進についてであります。
はじめに、介護予防事業につきましては、膝や腰の痛み等により運動を控えている高齢者が、運動に取り組むきっかけづくりとして、新たに水中介護予防教室を実施いたします。
また、高齢者の日常を支える生活支援体制の充実や高齢者の社会参加の推進に、引き続き取り組んでまいります。
(医療・福祉の充実)
次に、医療・福祉の充実についてであります。
地域医療体制の確保につきましては、公的病院への麻酔科医確保や市内病院の医師確保のための支援を引き続き行ってまいります。
また、日立保健医療圏をはじめとする県北周辺地域への看護師不足を解消するため、日立メディカルセンター看護専門学校が行う准看護学科から看護学科への定員増に伴う校舎増築整備のための支援を行ってまいります。
障がい者の社会参画支援につきましては、障がいのある方が、住み慣れた地域の中で安心して生活できるよう、各種支援の充実に取り組んでまいります。
医療福祉費支給制度(マル福)につきましては、昨年10月から高校生相当まで拡充しておりますが、医療に係る自己負担軽減対象者のさらなる拡充を図るため、今年度は、重度心身障害者の認定要件に、新たに精神障害者保健福祉手帳1級を所持する方を追加するため、本定例会に「高萩市医療福祉支給に関する条例の一部改正」についてご提案いたしております。
道路関係につきましては、緊急輸送道路や通学路などに指定されている路線の道路改良や交通安全施設の整備を進めるとともに、平成29年度に策定した「高萩市舗装修繕計画」に基づき、路面の修繕を実施し、継続して効率的・経済的な道路管理に努めてまいります。
市道の橋梁につきましては、高萩市内の全ての橋梁の点検が完了しましたので、その結果に基づき、橋梁長寿命化修繕計画の見直しを実施してまいります。
都市計画道路安良川下手綱線につきましては、早期整備に向けて引き続き事業の推進に努めてまいります。
また、公園の遊具につきましては、平成28年度に策定した公園遊具長寿命化計画に基づき、順次更新を行い公園施設の安全確保に努めてまいります。
(農業の振興)
農業の振興につきましては、水田農業対策として、経営所得安定に向けた、米の需給調整の推進、担い手の確保・育成を目的に、認定農業者が集団転作以外に取り組む新規需要米等に対する補助を新たに行ってまいります。
また、引き続き中山間地域等直接支払制度、多面的機能支払制度の活用や、水路改修などの基盤整備の実施などとともに、有害鳥獣による農作物等への被害防止に向け、狩猟者の確保を図るための狩猟免許新規取得費用の補助を新設することにより、地域資源や農村環境の保全を図ってまいります。
都市と農村の交流につきましては、花貫物産センター及び里山交流館を拠点に、山間地域の活性化に取り組んでまいります。
次に、商工業の振興につきましては、商工会と連携して中小企業の経営改善や、商店街活性化に向けた取り組みやイベント等を支援してまいります。また、高萩市、北茨城市及び両市の商工会、茨城労働局の五つの機関において、昨年11月に締結した雇用対策協定を活かし、求人情報の提供や市内企業の人材確保を促進し、安定した雇用に努めてまいります。
(防災・減災対策)
防災・減災対策につきましては、災害に強いまちづくりを進めるため、自主防災組織の強化や、関係機関と連携した総合防災訓練の実施などに取り組んでまいります。
また、防災行政無線屋外子局の増設や、庁舎や避難所など防災拠点となる施設への公衆無線LANの整備により、災害情報をより迅速かつ正確に伝達できる体制づくりを進めてまいります。
(その他)
交通安全対策につきましては、交通事故防止と交通安全意識の普及、高揚を図るため、季節ごとの交通安全運動への参加、子供や高齢者を対象とした交通安全教室の開催や立哨活動、高齢者の運転免許返納支援などの各種交通安全対策を警察や関係団体等と協力しながら、引き続き実施してまいります。
防犯対策につきましては、警察、防犯関係団体等と連携を強化し、空き巣対策のための施錠の励行や振り込め詐欺防止対策等の啓発を行い、防犯に関する意識の高揚を図ってまいります。
公共施設の老朽化対策につきましては、国から個別施設計画の策定が求められておりますことから、公共施設管理計画の改訂と合わせて個別施設計画の策定に取り組んでまいります。
次に、消防関係につきましては、多種多様な災害に備えて、日ごろの訓練に加え、隣接する消防本部や消防関係機関との合同訓練を実施し、更なる技術の向上と連携の強化を図り、市民の安全安心のために繋げてまいります。
また、火災予防啓発活動などを通して、市民や事業所、関係機関が一体となり防火に対する趣旨の周知徹底を図ってまいります。
消防団につきましては、平成元年に第20分団に配備した小型ポンプ積載車が30年を経過するため、今後の維持なども踏まえ、更新を行ってまいります。
更新車両につきましては、従来の装備に加え、可搬ポンプの昇降装置を取り付けるなど、団員の活動時における負担軽減を配慮した車両の更新を考えております。
(国民健康保険事業関係等)
国民健康保険につきましては、平成30年4月から始まった新・国保制度の下、今後も国保税収納率の向上に努め、また特定健康診査受診率や特定保健指導実施率の向上を図るとともに、人間ドック・脳ドックの受診費用を補助することにより、疾病の早期発見・早期治療に繋げ、医療費の抑制に努めてまいります。
(霊園事業)
霊園事業につきましては、少子高齢化が進行することによる承継に関する不安や問題の解消を図るため、市が一元的に永年管理を行う合葬式墓地の整備を行ってまいります。
(水道事業)
水道事業につきましては、平成28年度に策定した「高萩市水道ビジョン」に基づき、老朽化した配水管等の更新工事や更新の緊急性が高い施設の工事、また、浄水場の設備更新工事を着実に行い、安全・安心・安定した水道水の供給に努めてまいります。
また、工業用水道事業につきましては、平成28年度に策定した「高萩市工業用水道事業基本計画」に基づき、老朽化した施設の更新工事を推進し、利水企業に対し、水の安定供給に努めます。
以上、平成31年度の市政方針と主な施策について、申し上げましたが、事務事業の執行につきましては、効率的かつ効果的な行政運営に努めてまいります。
議員各位には、ご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げ、施政に対する所信の表明といたします。