令和5年3月施政方針

 令和5年第1回高萩市議会定例会の開会にあたり、今回ご審議いただきます諸議案の説明に先立ち、令和5年度の市政運営に対する私の所信の一端について申し上げます。

 

 私が、市民の皆様からご信託を賜り2期目の市政運営を担わせていただいてから2年目となりました。これまで、市政運営にご支援、ご協力を賜りました議員各位並びに市民の皆様に対し、心より感謝を申し上げます。
 私は就任以来、「市民主役のまちづくり」を基本理念とし、各種施策を実行してまいりました。引き続き第6次総合計画に掲げる6つの基本政策を柱として、市民の意見を取り入れ各施策を推進してまいります。
 今後も、市民の皆様のご期待に沿えるよう、職員と共に誠心誠意、全力で市政運営に取り組んでまいります。

 

(基本的考え)

 本市を取り巻く環境は、少子高齢化の進行、新型コロナウイルス感染症や物価高騰の影響による経済活動の停滞、就労形態の変化、人々の価値観の多様化など、大きく変化し続けています。社会の在り方や仕組みが移り変わる中で、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を基に、あらゆる課題に迅速かつ的確に対応し、誰もが住みやすい地域社会の実現を目指すことが、新たな時代への対応であると考えております。
 子どもから高齢者まで生きがいを持って、つつがなく暮らすことができるまちを作るため、本市は今まで課題の一つ一つに取り組むとともに、新型コロナウイルス感染症や物価高騰などについて各種対策を講じてまいりました。今後もさまざまな視点から政策課題を克服するための取組を進め、安心して暮らすことのできるまちづくりを推進してまいります。
 行財政運営につきましては、公共施設の老朽化や社会保障費の増加に加え、光熱水費の高騰が見込まれるなど、本市が直面する課題が複雑化・多様化していく中、従来の行政の在り方を必要に応じて見直していくことが求められております。財政状況の改善に向け、本市は既存インフラの計画的な修繕や更新等、公共施設マネジメントに関する取組を進めるとともに、行政手続きの簡素化及び市民の利便性の向上を図るため、押印等手続きの省略や行政のデジタル化を推進するなど、効率的で効果的な行政サービスを展開してまいります。
 そして、市民の意見を反映させた各施策の推進を図り、時代の変化に柔軟に対応した持続可能な地域づくりを進め、地域力により市民の誰もが笑顔で暮らすことができるまちを未来へ継承してまいります。

 

 それでは、6つの基本政策について申し上げます。

 はじめに、1つ目の柱、安心を支える『保健・医療・福祉』についてであります。

(新型コロナウイルスワクチン接種)

 新型コロナウイルスワクチン接種につきましては、市民の皆様をはじめ多賀医師会及び各医療機関等のご協力により、円滑に進めてまいりました。4月以降のワクチン接種の在り方については、国において検討されておりますので、その動向を注視し、市民の皆様の生命と暮らしを守るため、接種を希望される方が引き続き接種を受けられる体制の構築に努めてまいります。

 

(地域医療対策)

 地域医療対策につきましては、救急告示病院である県北医療センター高萩協同病院に対する公的病院等運営費補助及び産科・救急医療体制支援補助を引き続き実施するとともに、新たに非常勤産科医に対する定額補助を行い、安定した地域医療体制の確保に努めてまいります。

 

(子育て支援)

 子育て支援につきましては、2月から出産・子育て応援交付金事業を開始いたしました。妊娠期から低年齢期の子育て家庭に寄り添う伴走型相談支援の充実を図るとともに、出産や子育てを応援するための経済的支援を一体的に実施してまいります。
 公立児童クラブにつきましては、民間事業者への運営委託を4月1日から開始し、安定した運営体制の確保と保育の質の向上を図ってまいります。

 

(高齢者福祉)

 高齢者福祉・介護保険事業につきましては、高齢者の方々が住み慣れた地域で豊かな経験を生かして互いに支え合い、安心して元気に暮らし続けることができる地域共生社会の実現に向け、令和6年度から令和8年度を計画期間とする「高齢者福祉計画及び第9期介護保険事業計画」の策定を進めてまいります。
 高齢者の介護予防・重度化防止につきましては、水中介護予防教室とシルバーリハビリ体操指導士による元気アップ運動教室を引き続き実施し、介護予防事業の更なる推進を図ってまいります。

 

(障がい者福祉)

 障がい者の社会参画支援につきましては、障がいをお持ちの方が住み慣れた地域で自分らしく安心して暮らせるよう、市民のニーズを的確に把握し、各種支援の充実を図ってまいります。

 

 次に、2つ目の柱、たくましさを育む『教育・文化』についてであります。

(教育関係)

 人口減少や少子化による学校の小規模化が進行する中において、児童生徒により良い学習環境を提供するための学校適正配置計画につきましては、本年1月24日に高萩市立小中学校適正規模・適正配置検討委員会から答申された学校適正配置基本方針に基づき、施設の統廃合を含め具体的な内容を検討し、策定を進めてまいります。
 学校教育につきましては、学校訪問指導や教員研修、体験学習等を通して、児童生徒の確かな学力の定着、豊かな心の育成、教員の授業力向上に努めるとともに、児童生徒の個別最適な学びと協働的な学びの実現に向け、タブレット等のICT機器の効果的な活用に取り組んでまいります。
 開かれた学校運営につきましては、学校運営協議会の皆様との連携を強化するとともに、「学校を核とした地域づくり」に向け、地域全体で子供たちの学びや成長を支えるための「地域学校協働本部」を設置し、これまでの「はぎッズサポーター」等のボランティア団体を「はぎッズ応援隊」として統合するなど、地域と学校が連携・協働できる体制を構築することで、「地域とともにある学校づくり」を、推進してまいります。
 学校部活動の在り方につきましては、休日における部活動の地域連携・地域移行が令和7年度末を目途に進められることを踏まえ、地域人材の協力を得て、令和5年度から段階的な移行を進めるとともに、併せて学校における働き方改革を進めてまいります。
 給食費につきましては、これまで行ってきた第2子半額、第3子無償とする多子世帯への経済的負担軽減を継続いたします。昨今の物価高騰により給食の食材費も上昇しているところですが、これまでどおりの質や量を保った給食を実施するため、学校給食費で賄いきれない食材費相当額については物価高騰等に直面する保護者の皆様にご負担をかけることがないよう引き続き市が負担し、子育て支援を図ってまいります。

 

(生涯学習)

 公民館活動につきましては、市民のニーズに応じた特色ある講座を開設し、学習内容の充実を図ってまいります。
 高萩スカウトフィールド活用につきましては、継続性のある事業活動ができるよう公益財団法人ボーイスカウト日本連盟・茨城県連盟及び茨城県と引き続き連携・協働してまいります。

 

(スポーツ振興)

 スポーツ振興につきましては、現在策定を進めている「高萩市スポーツ推進計画」に基づき、スポーツに関する施策を総合的かつ計画的に推進し、市民の誰もが運動やスポーツに笑顔で親しむことができる生涯スポーツ社会の実現を目指してまいります。
 また、昨年に引き続き7月に「全国中学生ウエイトリフティング選手権大会」を文化会館において開催し、市民の「する・みる・ささえる」といったスポーツへの参画意識を醸成していくとともに、スポーツを通したまちの活性化を図ってまいります。

 

(市民文化)

 文化財の保存活用につきましては、国の重要文化財に指定された長久保赤水関係資料の修理を、引き続き文化庁や受託業者と協議し、損傷が激しい地図、絵図類を優先して計画的に進めてまいります。

 

 次に、3つ目の柱、元気を引き出す『経済・産業』についてであります。

(農林業)

 水田農業対策につきましては、令和4年度において、主食用米の民間在庫量が高い水準で推移する厳しい需給状況の中、飼料用米や大豆・野菜等への安定した需要が見込まれる品目への転換を図るため、更なる米の需給調整に向けた取組を推進してまいります。
 多様な担い手の育成・確保につきましては、新規就農者に対する支援や、認定農業者等が規模拡大等を行う際の農業機械導入に対する助成など、国や県の補助事業を活用し、担い手の育成、確保に努めてまいります。
 農業施設整備事業につきましては、令和4年度からの継続事業として、大字高萩西原地区の水路改修を行い、当該施設の維持管理労力の軽減及び農業生産性の向上を図ってまいります。
 鳥獣被害対策といたしましては、昨年度に引き続き、国の補助対象外である農家も含め、農家が設置する電気柵等設置費用への助成を実施してまいります。
 地籍調査事業につきましては、令和5年度から中戸川地区の調査を開始いたします。

 

(商工業)

 商工業の振興につきましては、商工会や関係団体と連携し、まちの活力維持、魅力向上に取り組み、市内事業者の経営安定と地域経済の活性化を図ってまいります。また、創業・雇用に関する支援としましては、起業しやすい環境の基盤づくりとして、新規創業希望者を対象とした起業塾及びプランコンテストの開催や、市内企業への人材確保を促進するため、世代ごとに対応した就職面接会等を実施するなど、商工会やハローワーク高萩と連携を図り包括的に推進してまいります。

 

(観光)

 観光の振興につきましては、本年10月から12月までの3カ月間、JRグループと連携した国内最大規模の観光キャンペーンである「茨城デスティネーションキャンペーン」が本県で開催されることから、新たな観光客の取り込みや交流人口の拡大が期待できるところです。
 はぎビレッジにつきましては、新たに車中泊やオートキャンプが楽しめるキャンプ場のオープンが予定されており、ダム湖での釣りやカナディアンカヌーの体験など新たなアクティビティとあわせ「アウトドアのまち高萩」が広く認知されるよう効果的なPRに努めてまいります。また、昨年の実施で好評をいただいたさくら宇宙公園でのライトアップイベントなど観光コンテンツの充実化を図り、本市観光の魅力を体感していただく機会にしてまいりたいと考えております。
 花貫渓谷周辺の整備・利活用につきましては、民間活力の積極的な活用によって魅力的かつ満足度の高いサービスの提供を図り、季節による観光客の偏りなどの課題解決に向けた取組を進めてまいります。

 

 次に、4つ目の柱、快適を見守る『生活環境』についてであります。

(高北清掃センター)

 本市は県内で唯一ごみ焼却施設を持たない市として、平成14年からごみ処理業務を外部業者に委託してまいりました。本年4月に最新の技術と設備機器を導入したごみ処理施設である高北清掃センターが本稼働を迎えます。新施設の整備にあたり、深いご理解とご協力を賜りました、地域住民の皆様をはじめ、関係各位に心から感謝申し上げます。
 新施設では、廃棄物を焼却する際の熱を利用して発電を行い、その電力を施設で利用、余剰分の電力を売電するなど、環境負荷の軽減を図るシステムを導入し、地球温暖化対策と循環型社会の形成を目指してまいります。また、北茨城市との共同運営により本市の財政負担の軽減を図れることから、その分を市民の皆様へ還元するため、ごみ袋の価格を下げてまいります。

 

(交通安全)

 交通安全対策につきましては、交通ルールの遵守やマナー向上を図るため、民間交通指導員による立哨活動を実施してまいります。特に子どもや高齢者の交通事故を未然に防止するため、交通安全教室の開催や交通安全キャンペーンなどの啓発活動を警察や関係機関と連携、協力するとともに、高齢者運転免許自主返納支援などの各種交通安全施策を引き続き実施してまいります。

 

(消防)

 消防関係につきましては、導入後20年が経過する救助工作車の更新を行います。最新の救助資機材を搭載し、4輪駆動方式により悪路走行の機動力を向上させることで、迅速かつ効率的な救助活動を可能とし、市民の安全・安心につなげてまいります。
 消防団につきましては、第21分団の小型ポンプ積載車を更新いたします。更新車両には従来の装備に加えて可搬ポンプの昇降装置を取り付け、団員の活動時における負担軽減を図ります。

 

(防災)

 防災・減災対策につきましては、自主防災組織の強化のための支援を行うとともに、市民・地域・企業などが自ら積極的に行動する「自助」及び「共助」と行政等が行動する「公助」とのバランスの取れた連携・対応による総合防災訓練等を通じて、地域防災力の向上を図り、災害に強い「安全・安心なまちづくり」に取り組んでまいります。

 

(防犯)

 防犯対策につきましては、警察や防犯協会等との連携を強化し、防犯に関する意識の高揚を図るとともに、SNS等を活用した情報発信を積極的に行い、犯罪抑止や被害防止に努めてまいります。

 

(子どもの安全確保)

 子どもたちの安全確保につきましては、はぎッズ応援隊による児童の登下校時の見守りや、青少年相談員による店舗訪問等を継続するとともに、防災行政無線を活用した「ながら見守り」放送を行い、引き続き、子どもたちが事故や犯罪に巻き込まれることがないよう、抑止に努めてまいります。

 

 次に、5つ目の柱、便利さを生み出す『社会基盤』についてであります。

(中心市街地)

 中心市街地活性化施策につきましては、勉強会などのソフト事業のほか、駅前広場の整備や老朽化が進む跨線橋の改修などのハード面を含め、総合的な視点から課題検討に取り組んでまいります。

 

(道路関係)

 道路関係につきましては、緊急輸送道路や通学路などに指定されている路線の道路改良や交通安全施設の整備を進めるとともに、「高萩市舗装修繕計画」に基づき、効率的・効果的な道路管理に努めてまいります。
 橋梁につきましては、橋梁長寿命化修繕計画に基づき法定点検及び補修設計等を実施し、橋梁の長寿命化を図ってまいります。
 地方創生道整備推進交付金を活用した観光周遊ルートの整備につきましては、スカウトフィールド北側の市道104号線、高萩カントリー東側の市道213号線、上君田十文字南側の市道103号線の道路舗装工事を進めてまいります。
 茨城県が整備を進めております都市計画道路3・5・9号安良川・赤浜線から日立市へ向けた将来的な幹線ルートにつきましては、財源の確保や事業化に向け継続的に国及び茨城県への働きかけを積極的に行ってまいります。
 都市計画道路3・4・1号安良川下手綱線につきましては、未取得用地の用地交渉を実施するとともに、道路改良工事に着手し早期完成に向け事業の推進に努めてまいります。

 

(公共交通)

 地域公共交通施策につきましては、AIを活用したデマンド型乗合バス「My Ride のるる」本格運行を昨年10月に開始しました。本事業は全国に先駆けた事例としてTV等のメディアに取り上げられており、同じ課題を持つ他自治体からの注目を集めているところです。「のるる」移行前と比較して利用者数は着実に増加しており、新たな公共交通として定着してきたものと考えております。今後も「高萩市地域公共交通計画」に基づき、市域全体の公共交通の充実に努めてまいります。

 

(情報・通信)

 情報化施策につきましては、国のデジタル田園都市国家構想を背景に、マイナンバー制度の利活用など行政サービスのデジタル化の推進が求められております。市民生活におけるスムーズな情報収集や利便性の高い行政サービスが提供できるよう、各種行政手続などの電子化を推進してまいります。

 

(水道関係)

 水道事業につきましては、「高萩市水道ビジョン」に基づき、老朽化した配水管の更新工事を実施してまいります。
また、第一浄水場施設の耐震補強工事を行い、安全・安心な水道水の供給に努めてまいります。
 工業用水道事業につきましては、「高萩市工業用水道事業基本計画」に基づき、老朽化した配水管の更新工事を実施してまいります。
また、第二浄水場施設の更新工事及び耐震補強工事を行い、利水企業に対する工業用水の安定供給に努めてまいります。

 

 次に、6つ目の柱、底力を高める『地域経営』についてであります。

(市政経営)

 行財政の健全化につきましては、「第4次行財政健全化計画」を基本とし、さらに取組を強化するとともに、業務の効率化、行政手続きのオンライン化などを推進し、市民サービスの向上に努めてまいります。
 公共施設につきましては、総合福祉センターに中央公民館機能を集約することとし、既存施設の有効利用及び管理運営を効率的に行うとともに、「健康」、「福祉」そして「生涯学習」を通じた生きがいづくり、「生涯現役の拠点」となるような施設整備を進めてまいります。

 

(男女共同参画)

 男女共同参画につきましては、「第3次高萩市男女共同参画プラン」に基づき、女性活躍に関する意見交換、情報発信を行うとともに、女性が活躍できる環境の構築、男性の家事参画意識の醸成などの取組を進めてまいります。

 

 以上、令和5年度の市政に臨む私の所信及び市政の基本方針について申し上げました。

 市民の誰もが笑顔で暮らすことができる「地域力が笑顔を育むまち高萩」の実現のため、これからも時代の変化に柔軟に対応した持続可能なまちづくりを力強く推進してまいります。

 議員各位には、ご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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  • 【更新日】2023年3月2日
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