令和3年第1回高萩市議会定例会の開会にあたり、今回ご審議いただきます諸議案の説明に先立ち、市政運営に対する私の所信の一端について申し上げます。
初めに、2月13日深夜に福島県沖で発生した地震により、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。東日本大震災の余震とされ、震災から約10年が経過してもその影響は未だ続いております。
平成23年3月11日、多数の人命が奪われ、各地に甚大な被害をもたらした東日本大震災により、お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、今もなお避難生活を余儀なくされている方々に対し、改めてお見舞いを申し上げます。
また、新型コロナウイルス感染症により命を落とされた方々やその御遺族に対しまして、心からお悔やみ申し上げますとともに、医療の最前線で日々全力を尽くしている医療従事者の皆様に心から敬意を表し、感謝を申し上げます。
私が市長に就任し早や3年が経過し、与えられた任期の最終年を迎えます。これまで、市政運営に御支援、御協力を賜りました議員各位並びに市民の皆様に対し、心より感謝を申し上げます。
私は就任以来、「市民主役のまちづくり」を基本理念とし、「誘致事業」「交流事業」「支援事業」の3つの政策を柱として、市民の意見を取り入れながら各施策を推進してまいりました。
今後も、市民の皆様の御期待に添えるよう、職員と共に誠心誠意取り組んでまいる所存でございます。
(基本的考え方)
それでは、令和3年度当初予算(案)編成の基本的考え方について申し上げます。
昨今の国の経済情勢を見ますと、内閣府の月例経済報告(2月)によれば、「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さがみられる。」としております。
先行きについては、「緊急事態宣言の解除後も感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直していくことが期待される。ただし、内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。」としております。
本市の財政状況につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による市税の減収などにより、より厳しい状況にあります。
そのような中、すべての事業において最小の経費で最大の効果を挙げるために、令和3年度予算においては事業の重要性や緊急性を勘案し、見直しや再構築の徹底を図るとともに、将来世代への負担軽減に努め、市民主役のまちづくりを推進するための編成を行いました。
新たな時代の要請に応じた自治運営の指針として、令和3年度より、本市の最上位計画である第6次高萩市総合計画が始動いたします。本計画では、本市が目指す将来都市像を「地域力が笑顔を育むまち 高萩 ~みんなが豊かさを実感できるまちを目指して~」と定めております。この将来像は、私が市長就任以来掲げてきた「市民主役のまちづくり」の基本理念に通ずるものであります。新たな計画に基づき、地域力により市民の誰もが笑顔で暮らすことができるまちを未来へ継承し、時代の変化に柔軟に対応した持続可能な地域づくりを展開するとともに、私たちのまち高萩の未来を担う子どもたちが健やかに育まれ、将来への夢を抱くことができる高萩市の実現につなげてまいります。
また、令和3年度は、ただ今申し上げた総合計画をはじめ、地方創生の指針である「第2期高萩市創生総合戦略」、安定した財政運営を目指す「第4次行財政健全化計画」、そのほか各種計画が新たな計画期間を迎え、新しい高萩市のまちづくりがスタートする年となります。
厳しい財政状況ではございますが、財政健全化の取組みを継続しつつ、「第6次高萩市総合計画」に掲げる基本政策に沿った事業を積極的に展開し、引き続き「誘致事業」、「交流事業」、「支援事業」の3つを政策の柱としてまいります。
(主な施策)
それでは、令和3年度の主な施策について申し上げます。
国は、新型コロナウイルス感染症対策について、ワクチン接種を今後の新型コロナウイルス感染症対策の重要な柱として位置付け、2月17日から医療従事者等に対する優先接種を全国的に開始しております。
本市におきましては、2月1日に副市長を本部長とする「新型コロナウイルスワクチン接種プロジェクトチーム」を立ち上げ専従職員を配置し、4月以降の高齢者等へのワクチン接種へ向けて、医師会の協力をいただきながら準備を進めております。円滑なワクチン接種体制の準備に必要な経費につきましては、特に緊急を要することから、1月22日及び2月10日付けで補正予算の専決処分を行ったところであります。
国や県、市がそれぞれの役割を果たしつつ、市民の皆さまと一丸となって感染症対策に取り組まなければ、新型コロナウイルスの終息を実現することはできません。
感染拡大防止と社会経済活動の両立を図りつつ、ポストコロナの新しい社会の実現を目指すためには、「新しい生活様式」を日常生活の一部として身に付け実践する必要があります。市民の皆さまにおかれましては、日々の細かな取り組みを積み重ね、感染症対策を継続していただきますよう、改めてお願い申し上げます。
次に、地域公共交通施策について申し上げます。公共交通の確保・維持に係る新たな取り組みとして、予約に応じて路線バスの運行経路を柔軟に設定することができる「ダイナミック・ルーティング・システム」の実証実験に取り組むとともに、住民の利用促進を図るため、65歳以上の方への路線バス運賃の半額助成や、高校生・大学生の通学定期券への助成を実施してまいります。これらの様々な施策を組み合わせながら、引き続き市域全体における公共交通手段の確保・充実を図ってまいります。
次に、高萩・北茨城広域事務組合において進めている一般廃棄物処理施設整備につきましては、起工式を2月25日に執り行い、工事の順調な進捗と安全を祈願し、本格的に施設建設工事を開始したところであります。
引き続き、北茨城市、高萩・北茨城広域事務組合と連携し、令和4年度末の竣工に向け着実に整備を進めてまいります。
続きまして、3つの柱ごとの主な施策について申し上げます。
はじめに、1つ目の柱『誘致事業』についてであります。
企業誘致につきましては、長年の懸案事項でありました土地開発公社が保有する赤浜地区工業団地TK2-2区画について、企業様より土地譲渡の申し込みをいただき、企業誘致審議会から答申を受け、土地譲渡の手続きを進めているところです。今後、企業様より了解を得て企業名を公表するとともに、市内の雇用拡大などの御協力を頂けるよう働きかけを行ってまいります。
中心市街地活性化事業につきましては、庁内プロジェクトチームを中心にハード、ソフトの両面から検討を進めております。ハード面におきましては、駅前広場の整備に必要なスペース確保における課題や、老朽化が進む跨線橋の改修などの案件もありますので、それらを含めて総合的に検討を進めてまいりたいと考えております。また、ソフト面におきましては、引き続き中心市街地の活性化に繋がる先進事例の研究や、アドバイザーを招いた勉強会などを開催し、機運醸成に取り組んでまいります。
フィルムコミッションにつきましては、関係機関と連携しテレビドラマや映画などの撮影誘致により、地域経済の活性化及び本市の知名度向上を図ってまいります。
(観光関係)
観光の振興につきましては、ポストコロナを見据え、減少した観光客の回復及びインバウンド誘客の促進を図るため、SNSを活用した魅力発信による観光プロモーションを強化してまいります。
また、アウトドアの需要が増加傾向にあることから、キャンプ施設の環境整備や体験イベントの実施などにより、施設の魅力を高めながら誘客促進を図ってまいります。
次に、2つ目の柱『交流事業』についてであります。
(交流事業)
市長室開放事業につきましては、私の就任以来、多くの市民の皆様から様々な声を聞かせていただいております。令和3年度も引き続き開催を予定しておりますので、市民の皆様との意見交換を行い、開かれた市政運営に取り組んでまいります。
高萩スカウトフィールド活用につきましては、コロナ禍の中ではありますが、公益財団法人ボーイスカウト日本連盟や茨城県と、引き続き連携・協働し、本市の豊かな自然環境体験や植樹等の活動によって、継続性のある交流につなげてまいります。
高萩アウトドアフィールド事業につきましては、委託事業であった「はぎビレッジ」運営を、令和3年度より、民間事業者が主体となって実施してまいります。今後は、ポストコロナの地域活性化を見据え、「アウトドアのまち たかはぎ」として認知されますよう、シンポジウムの開催や、アドバイザーを招いた新たな地域資源や体験事業の発掘など、引き続きアウトドア事業を推進してまいります。
(スポーツ交流)
スポーツの交流につきましては、茨城国体のレガシーを引き継ぎ、より発展させるため、全国規模等のウエイトリフティング大会の開催を目指してまいります。令和3年度は、
8月に全日本中学校ウエイトリフティング競技大会を開催し、市民の「する・みる・ささえる」といったスポーツへの関わり方を醸成していくとともにスポーツを通したまちの活性化を図ってまいります。
次に、3つ目の柱『支援事業』についてであります。
(地域医療対策)
地域医療体制の確保につきましては、救急告示病院である公的病院(県北医療センター高萩協同病院)に対する公的病院等運営費補助及び産科・救急医療体制支援補助を引き続き実施し、市民生活の安全・安心の確保に努めてまいります。
(子育て支援)
子育て支援につきましては、昨年開設した「子育て世代包括支援センター」を拠点に、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない相談・支援を行い、利用者の視点に立った妊娠・出産・子育てに関する手厚い支援を図ってまいります。
また、安心して妊娠・出産を迎えられますよう、妊婦一般健康診査をこれまでの14回から16回に拡充し、出産までの支援を行ってまいります。
本市の子育て支援施設の中心となる高萩市認定こども園施設整備につきましては、令和4年4月の供用開始に向け事業を進めてまいります。未来を担う子ども達のためにより快適で安全・安心な子育て環境を整え、良質な幼児教育・保育環境の提供に努めてまいります。
子ども達の安全確保につきましては、地域子ども安全ボランティアによる児童の登下校時の見守りや青少年相談員による店舗訪問等を継続するとともに、防災行政無線を使用した「ながら見守り」放送を行い、引き続き犯罪や事故に巻き込まれることがないよう抑止に努めてまいります。
また、地域の人材や大学との連携により「いきいき萩っ子育成事業」を引き続き実施し、元気な「萩っ子」の輩出を図り、子どもたちの健全育成に努めてまいります。
(教育関係)
学校教育につきましては、「1人1台タブレット」の導入に伴い、児童生徒の情報活用に関する、正しい知識や判断力を身につけるために、情報モラル教育の充実に努めてまいります。
また、令和2年度より、市内全小中学校に導入いたしましたコミュニティ・スクールにつきましては、「はぎッズサポーター」制度の活用により、地域の方々の経験・技能を生かした学習支援や環境整備などの活動を通して、学校・家庭・地域が連携して「地域とともにある学校」づくりを、引き続き推進してまいります。
(生涯学習)
公民館活動につきましては、感染症対策の徹底を図りながら、市民のニーズに応じた、より参加のしやすい講座を開設し、学習内容の充実を図ってまいります。
さくら宇宙公園につきましては、生涯学習の場や憩いの場として、市内外の方から幅広く利用されております。今後も引き続き同敷地内にあります茨城大学宇宙科学教育研究センターと連携・協力し有効活用に努めてまいります。
文化財の保存活用につきましては、昨年9月に重要文化財に指定された長久保赤水関係資料を後世に守り伝えていくため、損傷が激しい地図・絵図類を優先した修理を、計画的に進めてまいります。
また、県指定文化財であります穂積家住宅につきましては、経年による茅葺屋根の劣化が進んでいることから、茅葺屋根の修理事業を実施することとし、令和3年度につきましては、修理工事に係る実施設計を進めてまいります。
(男女共同参画)
男女共同参画につきましては、令和3年度を初年度とした「第3次高萩市男女共同参画プラン」に基づき、市内で活躍している女性を招き、女性活躍に関する意見交換やその成果を市内外に発信し、市民の皆様とともに女性が活躍できる環境を構築していきたいと考えております。
(高齢者福祉・介護)
高齢者福祉・介護保険事業につきましては、令和3年度から3年間を計画期間とする「高萩市高齢者福祉計画及び第8期介護保険事業計画」に基づき、災害や感染症対策に係る体制整備など新たな視点を加え事業を行ってまいります。また、介護保険料額につきましては、据え置きすることとし、引き続き高齢者の方がいつまでも住み慣れた地域で安心して生活できる「地域包括ケアシステム」のさらなる推進などを図ってまいります。
高齢者の介護予防・重度化防止につきましては、水中介護予防教室が大変好評を得ておりますことから、年2回の開催を年3回に増やすなど、感染症対策の徹底を図りながら、介護予防事業等をさらに推進してまいります。
障がい者の社会参画支援につきましては、障がいをお持ちの方が、住み慣れた地域の中で安心して生活できるよう各種支援の充実を引き続き図ってまいります。
(防災・減災対策)
防災・減災対策につきましては、災害に強いまちづくりを進めるため、自主防災組織の強化のための支援を行うとともに、関係機関と連携し、新型コロナウイルス感染症対策に配慮した実践的な防災訓練の実施に取り組んでまいります。
また、新年度からは、現在策定している高萩市国土強靭化地域計画を基に、大規模自然災害から市民の生命と財産を守り、速やかな復旧・復興に資する施策を計画的に推進してまいります。
(道路関係)
道路関係につきましては、緊急輸送道路や通学路などに指定されている路線の道路改良や交通安全施設の整備を進めるとともに、幹線市道の路面調査を実施し、「高萩市舗装修繕計画」に反映し、計画的に効率的・効果的な道路管理に努めてまいります。
また、市道212号線道路改良工事につきましては、令和3年度末の完成に向け、工業団地内の市道1013号線から一般廃棄物処理施設入口までの整備を進めてまいります。
市道の橋梁につきましては、高萩陸橋及びJR跨線橋2橋の法定点検を実施し、橋梁長寿命化計画に反映してまいります。
地方創生整備推進交付金を活用した観光周遊ルートの整備につきましては、市道104号線道路改良事業として、中戸川集落より高萩スカウトフィールドまでの区間、約1.5kmの測量・設計業務を進めるとともに、事業用地を取得してまいります。また、国道461号と県道高萩塙線を結ぶ、市道112号線及び市道213号線の道路整備のための測量・設計業務に着手してまいります。
都市計画道路3・4・1号安良川下手綱線につきましては、建物等補償調査及び不動産鑑定評価業務の完了を受け、地権者との用地交渉を実施し、事業の推進に努めてまいります。
また、通学路及び避難路等に面しているブロック塀等のうち、地震等で倒壊の恐れのあるものについては、撤去費用の一部を助成し、通行の安全を図ってまいります。
(農林業の振興)
水田農業対策につきましては、人口減少等に加え、新型コロナウイルス感染症の影響等による消費減退も重なり、過去最大規模の需給調整が必要な状況となっておりますことから、更なる米の需給調整の達成に向けた取組を推進して参ります。
また、農業施設整備事業として、大字秋山林崎地区の水路改修を実施し、維持管理の軽減と農業生産性の向上を図ってまいります。
有害鳥獣対策につきましては、イノシシ等による農作物への被害を防止するため、鳥獣被害対策実施隊と連携し、対策強化に努めてまいります。
林業につきましては、本年度に実施しました森林所有者意向調査の結果を受けて、整理伐等の森林整備を行うとともに、地籍調査が完了した地区の意向調査を引き続き実施してまいります。
地籍調査事業につきましては、下君田〔9〕地区、約0.58㎢を実施いたします。
(商工業の振興)
商工業の振興につきましては、商工会や関係団体と連携し、まちの活力維持、魅力向上に取り組みながら、賑わいと活気の創出を支援してまいります。
また、多様な産業の振興と雇用の創出による地域の活性化を目的に、商工会と連携を図りながら、意欲ある起業者が創業しやすい環境をつくり、事業の実現を支援してまいります。
(交通安全・防犯対策)
交通安全対策につきましては、警察署や関係機関と連携し、子どもや高齢者の事故防止に重点を置き、交通安全の強化に取り組んでまいります。
防犯対策につきましては、ニセ電話詐欺をはじめとする犯罪の防止に向けて、警察や防犯協会等との情報共有を図り、防災行政無線等を活用した情報発信を積極的に行い、犯罪抑止や被害防止に努めてまいります。
(地球温暖化対策)
地球温暖化対策につきましては、2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目標に、関係自治体と連携のうえ、本市の実状にあった脱炭素社会への実現に向けた具体的な取組等について調査研究を行ってまいります。
(消防)
消防関係につきましては、安定した高度救命体制の維持確保のため救急自動車の更新を行います。更新車両は、自動ブレーキ装置や車両全方位モニターなどの安全装置を搭載した、より安全性の高い車両を考えております。
また、新型コロナウイルス感染症対策として、搬送用陰圧式カプセルに対応したメインストレッチャーの導入など最新の資機材に更新し、更なる救命率向上を目指してまいります。
(国民健康保険事業)
国民健康保険につきましては、財政運営の責任主体である県への納付金の減少にあわせ、新型コロナウイルス感染症により、売り上げや給料の減少などの経済的な影響を受けている被保険者が多く加入していることから、その方々に対し負担軽減を図るため、税率を引き下げる条例の一部改正に関する議案を今定例会にご提案いたしております。
(水道事業)
水道事業につきましては、「高萩市水道ビジョン」に基づき、老朽化した配水管の更新工事や道路改良工事に伴う配水管布設替工事を実施してまいります。
また、浄水場につきましては、施設の更新工事及び耐震補強工事を行い、安全・安心な水道水の供給に努めてまいります。
次に、工業用水道事業につきましては、点検・調査の結果に基づき、施設の適切な維持管理に努め、利水企業に対し安定した水の供給に努めてまいります。
以上、令和3年度の市政に臨む私の所信及び市政の基本方針について申し上げてまいりました。
未だ新型コロナウイルスが猛威をふるう状況にありますが、新年度は、「新型コロナウイルスに終止符を打つ」ことを最優先に取り組み、議員の皆さま、市民の皆さま、医療従事者の皆さまと力を合わせ、安心して暮らせる日々を一刻も早く取り戻してまいりたいと存じます。
議員各位には、ご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。