令和4年第1回高萩市議会定例会の開会にあたり、今回ご審議いただきます諸議案の説明に先立ち、令和4年度の市政運営に対する私の所信の一端について申し上げます。
先の高萩市長選挙において、市民の皆様のご信託を賜り、引き続き市政を担わせていただくことになりました。
2期目に臨むにあたり、私は、本市が新型コロナウイルス感染症や自然災害に適切に対処し、それを克服していく強さとしなやかさを備えていくこと、また、本市の魅力や強みを伸ばすとともに、SDGsが目指す、誰一人取り残さない持続可能なまちづくりを進めていくことが、自分に与えられた使命であると考えております。
それらを実現するためには、行財政改革を進めながら、時代の変化に対応できる組織に進化していく必要があります。
コロナ禍の中で迎える2期目のスタートにおいて、改めてその重責を痛感いたしますとともに、市民の皆様のご期待に沿えるよう、初心を忘れることなく、誠心誠意、全力で市政運営に取り組んでまいります。
(基本的考え)
本市においては、今後も人口の減少、特に少子高齢化による生産年齢人口の減少が予測されており、それに伴う税収の減と社会保障費の増大が見込まれております。
また、激甚化する自然災害や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大等により、市民の安全・安心と環境に関する意識は高まっております。
子どもから高齢者まで生きがいを持って暮らすことができる持続可能なまちを作るため、本市は今まで課題の一つ一つに取り組むとともに、さまざまな自然災害や新型コロナウイルス感染症について、危機管理体制を拡充し各種対策を講じてまいりました。今後もさまざまな視点から政策課題を克服するための取組を進め、安心して暮らすことのできるまちづくりを推進してまいります。
行財政運営につきましては、公共施設の老朽化や社会保障費の増加が見込まれるなど、本市が直面する課題が複雑化・多様化していく中、従来の行政の在り方を必要に応じて見直していくことが求められております。現在の財政状況の改善に向け、本市は既存のインフラストックの計画的な修繕や更新等、公共施設マネジメントに関する取組を進めるとともに、組織や行政サービスを柔軟に見直し、行政手続きのオンライン化を推進するなど、効率的で、効果的な行政サービスを展開してまいります。
これらのことを踏まえ、私は、引き続き「市民主役のまちづくり」を基本理念とし、第6次総合計画に掲げた6つの基本政策を柱としてまちづくりを進めてまいります。
1つ「保健・医療・福祉」として、
健やかに笑顔で暮らしを支えあうまち
2つ「教育・文化」として、
未来を切り拓く地域人が育つまち
3つ「経済・産業」として、
地域力が経済活動を誘発する魅力あるまち
4つ「生活環境」として、
地域資源と暮らしが融合し継承されるまち
5つ「社会基盤」として、
風土を継承する強靭で柔軟な社会基盤づくり
6つ「地域経営」として、
共に生き、共に創り上げる持続可能なまち とし、
市民の意見を反映させながらこれらの各施策を推進することで、地域力により市民の誰もが笑顔で暮らすことができるまちを未来へ継承してまいります。そして、時代の変化に柔軟に対応した持続可能な地域づくりを展開し、高萩の未来を担う子どもたちを健やかに育み、将来への夢を抱くことができる高萩市の実現につなげてまいります。
それでは、6つの基本政策についての私の考えを申し上げます。
はじめに、1つ目の柱、安心を支える『保健・医療・福祉』についてであります。
(新型コロナウイルスワクチン接種)
新型コロナウイルスワクチン接種につきましては、市民の皆様をはじめ、多賀医師会及び各医療機関の方々のご協力により、2回の接種を迅速に進めることができました。
しかしながら、今年に入りましてから、新たな変異株であるオミクロン株はこれまでにない感染力で急拡大しております。既に医療提供体制の維持確保が困難となっている地域もあり、我が国も極めて緊迫した状況に直面しております。
本市といたしましては、市民の生命と暮らしを守るため、1月中旬から実施しておりますワクチン3回目接種の更なる円滑な推進を図り、感染拡大の防止に全力で取り組んでまいります。市民の皆様におかれましては、改めてマスクの着用や、手洗い、三密回避を徹底していただき、自分がうつらない、大切な方へうつさないための取組をお願いいたします。
(地域医療対策)
地域医療体制の確保につきましては、救急告示病院である公的病院(県北医療センター高萩協同病院)に対する公的病院等運営費補助及び産科・救急医療体制支援補助を、引き続き実施してまいります。また、新たな医師確保対策といたしまして、市内病院に常勤される医師の住宅取得費用の一部補助を行うことで、市内病院の医師雇用促進を図り、安定した医療体制の確保、市民生活の安全・安心の確保に努めてまいります。
(子育て支援)
たかはぎ認定こども園につきましては、施設整備が完了し、3月19日に竣工式典を開催いたします。4月から幼保連携型こども園として開園するこの施設を、本市の子育て支援施設の中心として位置づけ、良質な幼児教育・保育環境の提供に引き続き努めてまいります。
また、3歳児健康診査において、弱視を早期発見し、適切な早期治療につなげられるよう、従来の視力検査に併せ、客観的で正確な検査結果が得られる屈折検査機器を導入し、幼児健康診査の充実に努めてまいります。
子どもたちの安全確保につきましては、地域子ども安全ボランティアによる児童の登下校時の見守りや、青少年相談員による店舗訪問等を継続するとともに、防災行政無線を使用した「ながら見守り」放送を行い、引き続き、犯罪や事故の抑止に努めてまいります。
(高齢者福祉)
高齢者の介護予防・重度化防止につきましては、シルバーリハビリ体操指導士会との連携による元気アップ運動教室を開催するとともに、水中介護予防教室を実施し、介護予防事業等をさらに推進してまいります。
(障がい者福祉)
障がい者の社会参画支援につきましては、障がいをお持ちの方が住み慣れた地域で自分らしく安心して暮らせるよう、市民のニーズを的確に把握をし、各種支援の充実を図ってまいります。
(生活困窮者支援)
生活困窮者支援につきましては、相談者の一人ひとりの状況に合わせ、自立した生活を送ることができるよう、専門機関と連携して、解決に向けた支援を行ってまいります。
(国民健康保険事業)
国民健康保険につきましては、茨城県の国民健康保険運営方針を受けまして、保険税の賦課方式を現行の4方式から簡潔・公平な2方式に移行いたします。税率改正にあたりましては、本市独自の保険税負担の緩和措置を併せて実施してまいります。引き続き適切な保健指導を行うとともに、効率的かつ効果的な保健事業を実施し、持続可能な安定した制度の運営に努めてまいります。
次に、2つ目の柱、たくましさを育む『教育・文化』についてであります。
(教育関係)
学校教育につきましては、人口減少や少子化による学校の小規模化が進行している中において、児童生徒に、より良い学習環境を提供するため、学校適正配置計画の策定を進めてまいります。策定にあたりましては、高萩市立小中学校適正規模・適正配置検討委員会を設置し、保護者や地域住民、有識者等から広くご意見をいただくとともに、今後の本市の学校教育の在り方について検討を重ねてまいります。
昨年4月、児童生徒を対象とした「1人1台タブレット」の導入をいたしました。新型コロナウイルス感染症対策などから家庭におけるオンライン学習の機会が増えていることから、引き続き小中学校の教職員を対象としたICT活用研修会を実施するなど、児童生徒の質の高い学びの実現に努めてまいります。
また、情報活用に関する正しい知識や判断力を、児童生徒に身につけてもらうため、情報モラル教育の充実にも努めてまいります。
学校や保護者、地域住民の協働により子どもたちの学びを支えるコミュニティ・スクールにつきましては、本市では既にすべての小中学校に導入、運用しているところです。今後も「はぎッズサポーター」による学習支援や環境整備、学校行事の支援などの活動を通して、学校・家庭・地域が連携して「地域とともにある学校」づくりを推進してまいります。
(生涯学習)
公民館活動につきましては、市民のニーズや社会情勢に応じた、より参加のしやすい講座を開設し、学習内容の充実を図ってまいります。
図書館につきましては、電子書籍の貸出を昨年10月から開始しております。今後もさらに電子書籍の充実を図り、市民の皆様に活用いただけるよう、広く周知してまいります。
(文化財保護)
文化財の保存活用につきましては、県指定文化財であります穂積家住宅の茅葺屋根修理工事を実施いたします。
また、国の重要文化財に指定された長久保赤水関係資料を後世に残していくため、損傷が激しい地図、絵図類を優先した修理を、引き続き計画的に進めてまいります。
次に、3つ目の柱、元気を引き出す『経済・産業』についてであります。
(農林業)
水田農業対策につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により中食・外食産業等で米の需要が低下し、令和3年度は米価が大幅に下落となったところであります。今後も厳しい状況が見込まれることから、主食用米から飼料用米への転換を図るなど、更なる米の需給調整に向けた取組を推進してまいります。
また、農業施設整備事業として水路改修等を実施し、維持管理の軽減と農業生産性の向上を図ってまいります。
有害鳥獣対策につきましては、イノシシ等による農作物への被害を防止するため、新たに戸別の農家が設置する電気柵等の侵入防止柵設置費用への助成制度を創設いたします。引き続き鳥獣被害対策実施隊と連携し、対策強化に努めてまいります。
森林公園につきましては、市民が利用しやすい環境の再整備に向け、森林環境譲与税を活用し、森林公園整備基本構想を策定してまいります。
(商工業)
商工業の振興につきましては、まちの活力維持、魅力向上に取り組みながら、賑わいと活気の創出活動が展開されるよう、商工会や関係団体と連携し支援してまいります。
また、高萩市、北茨城市及び両市の商工会、茨城労働局との雇用対策協定に基づき、市内企業の人材確保を促進し、若年層の地域への就職及び安定した雇用に努めてまいります。
(観光関係)
観光の振興につきましては、花貫渓谷及びその周辺の自然環境を活かし、交流人口の増加及び山間地域の活性化を図るため、花貫渓谷利活用・整備基本構想を策定し、花貫渓谷周辺の更なる魅力向上を図ってまいります。
高萩アウトドアフィールドにつきましては、ポストコロナの地域活性化を見据え、「アウトドアのまち たかはぎ」として認知されるよう、はぎビレッジのエリアを拡大いたします。
また、はぎビレッジに新たに参入する事業者や既存事業者と連携し、交流人口の拡大に努めるなど、引き続きアウトドア事業を推進してまいります。
次に、4つ目の柱、快適を見守る『生活環境』についてであります。
(一般廃棄物処理施設整備事業)
高萩・北茨城広域事務組合において進めている一般廃棄物処理施設整備につきましては、令和5年4月の施設稼働に向け、工事を進めているところであります。引き続き、施設整備工事の進捗管理に努めるとともに、ごみの分別区分や排出方法等について、北茨城市、高萩・北茨城広域事務組合と十分調整を行い、市民の皆様の負担軽減が図れるよう努めてまいります。
(地球温暖化対策)
地球温暖化対策につきましては、ゼロカーボンシティの実現に向け、現在策定している「高萩市再生可能エネルギービジョン」を踏まえ、関係機関と連携し、2050年の脱炭素化に向けた取組を推進してまいります。
また、秋山小学校・秋山中学校体育館照明のLED化や公用車の電気自動車への更新などによりエネルギー消費の削減を図ってまいります。
(交通安全)
交通安全対策につきましては、引き続き、警察署や関係機関と連携しながら、子どもや高齢者の事故防止に重点を置き、交通安全活動の推進に力を入れてまいります。その一つとして、高齢者の事故防止対策として実施している「高齢者運転免許自主返納支援事業」につきましては、返納者への支援策として、これまでのタクシーチケットに加え、バスカード等を選択できるようにし、免許返納がしやすい環境を整備してまいります。
(防犯)
防犯対策につきましては、犯罪抑止の取組として、街頭防犯カメラの設置を拡充するほか、ニセ電話詐欺をはじめとする犯罪の防止に向けて、高萩警察署や防犯協会等との連携を強化し、犯罪抑止や被害防止に努めてまいります。
(防災・減災)
防災・減災対策につきましては、災害に強いまちづくりを進めるため、自主防災組織の強化支援を行うとともに、関係機関と連携し、新型コロナウイルス感染症に配慮した実践的な防災訓練の実施に取り組んでまいります。
また、高萩市国土強靭化地域計画に基づき、大規模自然災害から市民の生命と財産を守り、速やかな復旧・復興に資する施策を推進してまいります。
防災情報を確実に伝達するため整備を進めている防災アプリにつきましては、令和4年度の運用開始を予定しております。
通学路及び避難通路等に面している地震等で倒壊の恐れのあるブロック塀等につきましては、撤去費用の一部を引き続き助成し、通行の安全を図ってまいります。
(消防)
消防関係につきましては、消防ポンプ自動車の更新を行います。小回りの利く小型水槽付き車両を更新することで、道路幅の狭い地域における迅速な消火活動を可能とします。
また、災害時に安定した消防水利を確保するため、耐震性防火貯水槽を新たに2基、整備してまいります。
消防団につきましては、団員報酬等の処遇改善を行い士気向上を図り、団員の確保に努めてまいります。
また、第17分団の小型ポンプ積載車を更新いたします。更新車両には従来の装備に加えて可搬ポンプの昇降装置を取り付け、団員の活動時における負担軽減を図ります。
次に、5つ目の柱、便利さを生み出す『社会基盤』についてであります。
(中心市街地)
中心市街地活性化施策につきましては、ハード面、ソフト面の両面から検討を進めております。ハード面におきましては、駅前広場の整備や老朽化が進む跨線橋の改修などを含めて総合的に検討を進めてまいります。ソフト面におきましては、中心市街地の活性化に繋がる勉強会や、外部専門員との意見交換などを行いながら、機運醸成や課題検討に取り組んでまいります。
(公共交通)
地域公共交通施策につきましては、AIを活用したデマンド型乗合バス「My Ride のるる」の実証運行を昨年7月より開始、その後、段階的にバスの運行台数やバス停、運行範囲などを拡大しております。今年10月からの本格運行に向け、運行実績の検証や利用者アンケート結果の精査を進め、更に利便性の高いシステム構築に取り組むとともに、令和4年度から5カ年計画で推進する「高萩市地域公共交通計画」に基づき、市域全体の公共交通の充実に努めてまいります。
(情報・通信)
情報化施策につきましては、令和3年12月に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を背景に、国から行政サービスのデジタル化の推進が求められていることを受け、市民生活におけるスムーズな情報収集や利便性の高い行政サービスが提供できるよう、各種行政手続などの電子化を推進してまいります。
(道路関係)
道路関係につきましては、緊急輸送道路や通学路などに指定されている路線の道路改良や交通安全施設の整備を進めるとともに、「高萩市舗装修繕計画」に基づき、効率的・効果的な道路管理に努めてまいります。
橋梁につきましては、和野橋外3橋の法定点検及び高萩陸橋の補修補強工事を実施し、橋梁の長寿命化を図ってまいります。
地方創生整備推進交付金を活用した観光周遊ルートの整備につきましては、市道104号線道路改良事業として、高萩スカウトフィールドを起点に、約100m区間の道路改良工事を進めてまいります。
また、国道461号と県道北茨城・大子線を経由し観光周遊道路の役割を果たす、市道112号線及び市道213号線の道路舗装工事に着手してまいります。
茨城県が整備を進めております都市計画道路3・5・9号安良川赤浜線から日立市へ向けた将来的な幹線ルートにつきましては、茨城県及び日立市と協議を始めてまいります。
都市計画道路3・4・1号安良川下手綱線につきましては、引き続き、地権者との用地交渉を実施し、早期完成に向けて事業の推進に努めてまいります。
(水道関係)
水道事業につきましては、「高萩市水道ビジョン」に基づき、老朽化した配水管の更新工事を実施してまいります。
また、浄水場につきましては、施設の更新工事及び耐震補強工事を行い、安全・安心な水道水の供給に努めてまいります。
工業用水道事業につきましては、「高萩市工業用水道事業基本計画」に基づき、配水管更新のための設計委託を実施してまいります。
また、浄水場につきましては、管理棟耐震改修工事の設計業務委託を実施し、利水企業に対する工業用水の安定供給に努めてまいります。
次に、6つ目の柱、底力を高める『地域経営』についてであります。
(市政経営)
市長室開放事業につきましては、私の就任以来、多くの市民の皆様から様々な声を聞かせていただいております。令和4年度も、引き続き市民の皆様との意見交換を行い、開かれた市政運営に取り組んでまいります。
行財政の健全化につきましては、「第4次行財政健全化計画」を基本とし、さらに取組を強化してまいります。人口減少が進み、市税や交付税の減少が見込まれることから、組織のスリム化は喫緊の課題です。組織の統廃合と体制整備を行い、業務の効率化を図るとともに、行政手続きのオンライン化などを推進し、市民サービスの向上に努めてまいります。
公共施設の老朽化対策につきましては、公共施設等管理計画及び個別施設計画より前倒しして実行することにより、安全安心な公共施設・インフラの提供と財政負担の軽減を着実に進めてまいります。
(男女共同参画)
男女共同参画につきましては、「第3次高萩市男女共同参画プラン」に基づき、女性活躍に関する意見交換やその成果の発信を行い、女性が活躍できる環境の構築や、男性の家事参画の意識醸成などの取組を進めてまいります。
以上、令和4年度の市政に臨む私の所信及び市政の基本方針について申し上げました。
市民の誰もが笑顔で暮らすことができる「地域力が笑顔を育むまち高萩」の実現のため、これからも時代の変化に柔軟に対応した持続可能なまちづくりを力強く推進してまいります。
議員各位には、ご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。